セアカゴケグモ咬まれたので、その症状について簡単に書き留めておきます。
当初、この件をブログ等で下手に公開するのはちょっとどうなのかなと考えていました。
ですが実際に咬まれてみて、これは日本語による具体的な症例の解説を現状より一つでも多く残して周知に貢献すべきだと思い至り、公開することにしました。
というのも、このセアカゴケグモによる咬症が
日本人が想定する一般的な「毒虫による虫刺され」の症状からあまりにかけ離れていたためです。
簡潔に述べると、まず「咬まれた瞬間はほぼ無痛」であり、「自覚症状が咬まれてから時間を置いて」、「咬み跡からやや離れた部位に」、「疼痛や麻痺という特殊な形で現れ」、その後「時間の経過とともに患部が拡大してく」のです。
ということはつまり、もし野外作業中などにセアカゴケグモに咬まれてしまったとすると、即時の痛みは軽微であるため、咬まれた際にはクモの存在には気が付けないかもしれません。
その場合、症状を自覚する頃には犯人いや犯蜘蛛は遠くへ逃げ去っている可能性が出てきます。
しかも、症状はとても虫刺されとは思えないタイプの痛みや痺れとして知覚されます。
姿も見ないまま、毒虫を連想することのできない症状が突然出てきたとなると、「これはどうやらセアカゴケグモにやら
れたな!」と推察することはなかなか困難でしょう。
症状が軽い場合でも、体の一部へ唐突に原因不明の痺れや痛みが出てくると、治まるまでは不安で仕方ないでしょう。
万が一症状が重く、治療が必要になった場合などは、原因がハッキリしていないと適切な処置を即座に受けられない可能性も出てきます。
(実際、原産地のオーストラリアでは乳幼児がセアカゴケグモに咬まれる事故があるようです。
この場合、クモがその場を離れてから痛みで泣きじゃくり、事故の発生が初めて認識されるようなケースが出てきます。
それだと外傷を見つけることも症状を問診することもできないので、クモによる咬症だと断定するのがとても困難になるのだとか。)
そう言った状況に陥るのを防ぐ、あるいは少しでも早く打開するためには、具体的な症状が周知されることこそが第一歩なのではと考えらます(まあ、滅多なことでは咬まれたりしないとは思っていますが…。)
それでは咬まれた当時のメモ(加筆修正済み)を公開していきます。
2014年11月8日(土) 大阪府某所
12:39
セアカゴケグモに左手人差し指の付け根(手の甲側)を咬まれる。
ほんの僅かにチクリと痛みはしたが、「ん?今のは咬んだのか?」と確信を持てずにいた。
いわゆる「甘噛み」で、毒素はまともに注入できていないのではと。
だが、神経を集中すると確かに軽く痛痒い。
この時点ではまだ赤みや腫れも出ていない。
12:41
1分2分と時が経つごとに、咬み跡がヂリヂリ、ジンジンと痛み始める。ほのかに赤みが出始める。
毒の影響が時間差で出てくるのか!たったあれだけの甘噛み(だとこの時点では思っていた)でこれかよ!?ガッツリ咬まれたら相当痛いのだろうな…と戦慄する(実際はガッツリ咬まれています。)
12:45
左腋が痛み出したような気がする。だが手首や肘には症状出ず。気のせいか?
いや、明らかに痛みだした。腋の方が咬まれた箇所よりも痛い。間違いなく毒の作用だ。甘噛みでよかった(呑気なことに、まだ甘噛みで済んだのだと思い込んでいる)。
こんな毒は初めてだ。痛いが面白い、と感じる。
ハチは刺される際に激痛を伴うが、神経毒は注入時は痛くないのだな、などと考える。
12:56
左腋の痛みが明らかに強まる。これ以上強く痛むと日常動作に支障が出る。これが痛みのピークであってほしい。
などと言っているそばから左胸が痛み出す。少しばかりの危機感を覚える。
また、ここでようやく「あれは断じて甘噛みではなかった」ことを確信する。
12:58
左脇から左胸が腫れぼったく、鈍い痛み。蜂毒や筋肉痛とは異なる疼痛だ。
膝の成長痛がこんな感じだったような気がする。
13:03
また胸と腋の痛みが少し強くなる。だんだん左腕全体に力が入らなくなってきている。
腕全体に鬱血時のような鈍い痛みと痺れを感じる。
明らかに左手の握力が落ちている
13:20
咬み跡の痛みが増した気がする。
手と腕に全然力が入らない。麻痺しているのだ。
まるで左上半身だけが過剰なウェイトトレーニングを一気にこなした後のように脱力している。
もし今魚釣りに臨んだら、さほど大きくない魚でもやりとりするのがかなり苦しいだろう。そこそこのサイズの魚にさえ、簡単に竿を持っていかれてしまうだろうな。などと考える。
13:30
人差し指が痛みだす。
骨がというか神経が痛い感じ。骨の芯だけを打ち身したような…。
13:36
たぶんここが痛みのピークだろう…。そうであってくれ。と、祈る。
(翌日に友人らと大物狙いの釣りに出向く予定だった。)
握力がほとんど無い。拳は握れるが、ペットボトルの蓋は開けられなさそう。
13:52
また少しだけ痛みが強くなった気がする。(どうやらここが痛みのピークだったらしい。)
咬み跡はほんの少し腫れたかなという程度の変化。
なお、これ以上腫れや赤みが増すことはなかった。
14:01
脇の痛みが引き始める。咬み跡から人差し指にかけては依然痛いまま。
14:07
指の痛みも握力もかなり回復。今ならもう多少の大物釣りにも行けそう。
14:23
順調に痛みが引いてはいるが、まだ痛いことは痛い
14:36
現状維持。なんだか、左上半身だけ朝から肉体労働に従事してきたような倦怠感。
15:35
もはや一番気になるのは咬み跡および人差し指に。
15:53
脇と胸の痛みはほぼ消えた。違和感は少しあるかも。手はまだ痛い。いや、やっぱり胸と腋もまだちょい痛い
20:20
手だけまだ痛い(特に噛み跡)。
23:27
布団で横になっていると、脇と胸がまた少し痛みだす。
翌 2014年11月9日
3:00
噛み跡と指はまだ痛い。なんか痛みのタイプがハチなど普通の毒虫による咬症に近くなったような印象を受ける。
6:00
噛み跡が普通に痛い。ズキズキした痛み。
冷水や氷で冷やすと、その間は楽になる。
11:18
痛みが引いてきた。
16:30
手をグーパーと握ると咬み跡が痛む。
20:00
咬み跡を触ると少し痛い
翌々日 2014年11月10日
09:00
咬み跡を触るとほんの少し痛いが、生活に支障をきたしたりするレベルではない。
ほぼ気にならない程度。
2014年11月19日朝 (咬まれてから11日後)
痛みはまったく無い。完治!
と思いきや、噛み跡周辺の痒みが多少残っている。
当初、この件をブログ等で下手に公開するのはちょっとどうなのかなと考えていました。
ですが実際に咬まれてみて、これは日本語による具体的な症例の解説を現状より一つでも多く残して周知に貢献すべきだと思い至り、公開することにしました。
というのも、このセアカゴケグモによる咬症が
日本人が想定する一般的な「毒虫による虫刺され」の症状からあまりにかけ離れていたためです。
簡潔に述べると、まず「咬まれた瞬間はほぼ無痛」であり、「自覚症状が咬まれてから時間を置いて」、「咬み跡からやや離れた部位に」、「疼痛や麻痺という特殊な形で現れ」、その後「時間の経過とともに患部が拡大してく」のです。
ということはつまり、もし野外作業中などにセアカゴケグモに咬まれてしまったとすると、即時の痛みは軽微であるため、咬まれた際にはクモの存在には気が付けないかもしれません。
その場合、症状を自覚する頃には犯人いや犯蜘蛛は遠くへ逃げ去っている可能性が出てきます。
しかも、症状はとても虫刺されとは思えないタイプの痛みや痺れとして知覚されます。
姿も見ないまま、毒虫を連想することのできない症状が突然出てきたとなると、「これはどうやらセアカゴケグモにやら
れたな!」と推察することはなかなか困難でしょう。
症状が軽い場合でも、体の一部へ唐突に原因不明の痺れや痛みが出てくると、治まるまでは不安で仕方ないでしょう。
万が一症状が重く、治療が必要になった場合などは、原因がハッキリしていないと適切な処置を即座に受けられない可能性も出てきます。
この子が咬んでくれました。
(実際、原産地のオーストラリアでは乳幼児がセアカゴケグモに咬まれる事故があるようです。
この場合、クモがその場を離れてから痛みで泣きじゃくり、事故の発生が初めて認識されるようなケースが出てきます。
それだと外傷を見つけることも症状を問診することもできないので、クモによる咬症だと断定するのがとても困難になるのだとか。)
そう言った状況に陥るのを防ぐ、あるいは少しでも早く打開するためには、具体的な症状が周知されることこそが第一歩なのではと考えらます(まあ、滅多なことでは咬まれたりしないとは思っていますが…。)
それでは咬まれた当時のメモ(加筆修正済み)を公開していきます。
2014年11月8日(土) 大阪府某所
12:39
セアカゴケグモに左手人差し指の付け根(手の甲側)を咬まれる。
ほんの僅かにチクリと痛みはしたが、「ん?今のは咬んだのか?」と確信を持てずにいた。
いわゆる「甘噛み」で、毒素はまともに注入できていないのではと。
だが、神経を集中すると確かに軽く痛痒い。
この時点ではまだ赤みや腫れも出ていない。
12:41
1分2分と時が経つごとに、咬み跡がヂリヂリ、ジンジンと痛み始める。ほのかに赤みが出始める。
毒の影響が時間差で出てくるのか!たったあれだけの甘噛み(だとこの時点では思っていた)でこれかよ!?ガッツリ咬まれたら相当痛いのだろうな…と戦慄する(実際はガッツリ咬まれています。)
12:45
左腋が痛み出したような気がする。だが手首や肘には症状出ず。気のせいか?
いや、明らかに痛みだした。腋の方が咬まれた箇所よりも痛い。間違いなく毒の作用だ。甘噛みでよかった(呑気なことに、まだ甘噛みで済んだのだと思い込んでいる)。
こんな毒は初めてだ。痛いが面白い、と感じる。
ハチは刺される際に激痛を伴うが、神経毒は注入時は痛くないのだな、などと考える。
12:56
左腋の痛みが明らかに強まる。これ以上強く痛むと日常動作に支障が出る。これが痛みのピークであってほしい。
などと言っているそばから左胸が痛み出す。少しばかりの危機感を覚える。
また、ここでようやく「あれは断じて甘噛みではなかった」ことを確信する。
12:58
左脇から左胸が腫れぼったく、鈍い痛み。蜂毒や筋肉痛とは異なる疼痛だ。
膝の成長痛がこんな感じだったような気がする。
13:03
また胸と腋の痛みが少し強くなる。だんだん左腕全体に力が入らなくなってきている。
腕全体に鬱血時のような鈍い痛みと痺れを感じる。
明らかに左手の握力が落ちている
13:20
咬み跡の痛みが増した気がする。
手と腕に全然力が入らない。麻痺しているのだ。
まるで左上半身だけが過剰なウェイトトレーニングを一気にこなした後のように脱力している。
もし今魚釣りに臨んだら、さほど大きくない魚でもやりとりするのがかなり苦しいだろう。そこそこのサイズの魚にさえ、簡単に竿を持っていかれてしまうだろうな。などと考える。
13:30
人差し指が痛みだす。
骨がというか神経が痛い感じ。骨の芯だけを打ち身したような…。
13:36
たぶんここが痛みのピークだろう…。そうであってくれ。と、祈る。
(翌日に友人らと大物狙いの釣りに出向く予定だった。)
握力がほとんど無い。拳は握れるが、ペットボトルの蓋は開けられなさそう。
13:52
また少しだけ痛みが強くなった気がする。(どうやらここが痛みのピークだったらしい。)
咬み跡はほんの少し腫れたかなという程度の変化。
なお、これ以上腫れや赤みが増すことはなかった。
14:01
脇の痛みが引き始める。咬み跡から人差し指にかけては依然痛いまま。
14:07
指の痛みも握力もかなり回復。今ならもう多少の大物釣りにも行けそう。
14:23
順調に痛みが引いてはいるが、まだ痛いことは痛い
14:36
現状維持。なんだか、左上半身だけ朝から肉体労働に従事してきたような倦怠感。
15:35
もはや一番気になるのは咬み跡および人差し指に。
15:53
脇と胸の痛みはほぼ消えた。違和感は少しあるかも。手はまだ痛い。いや、やっぱり胸と腋もまだちょい痛い
20:20
手だけまだ痛い(特に噛み跡)。
23:27
布団で横になっていると、脇と胸がまた少し痛みだす。
翌 2014年11月9日
3:00
噛み跡と指はまだ痛い。なんか痛みのタイプがハチなど普通の毒虫による咬症に近くなったような印象を受ける。
6:00
噛み跡が普通に痛い。ズキズキした痛み。
冷水や氷で冷やすと、その間は楽になる。
11:18
痛みが引いてきた。
16:30
手をグーパーと握ると咬み跡が痛む。
20:00
咬み跡を触ると少し痛い
翌々日 2014年11月10日
09:00
咬み跡を触るとほんの少し痛いが、生活に支障をきたしたりするレベルではない。
ほぼ気にならない程度。
2014年11月19日朝 (咬まれてから11日後)
痛みはまったく無い。完治!
と思いきや、噛み跡周辺の痒みが多少残っている。
詳しい状況記載ありがとうございます。アメリカ南部在住です。この辺りにもいるようなので気をつけます。
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